LenovoのゲーミングPCブランド「LEGION」のゲーミングノート「Lenovo Legion Slim 5i Gen 8」を、レノボさんから実機提供いただきレビューします。
第13世代インテルCore i5にGeForce RTX4050搭載で15万円台とお手軽なモデルですが、ゲームや動画編集、画像生成AIにも使えるのか、実機で試してみました。
現行のLegionゲーミングノートでは最小構成に近いスペックでどの程度のことができるのか、同じレノボのゲーミングPCブランド「LOQ」との違いなど、安価なゲーミングノートを検討されている方のお役にたてるようレビューします。
- 安くてコスパのいいゲーミングノートを探している
- RTX4050ってどうなのか気になる
- レノボのLegionとLOQの違いを知りたい
こんな方はぜひお読みくださいね
Lenovo Legion Slim 5i Gen 8について
レノボさんからお借りしたLegion Slim 5i Gen 8は、モデル番号「82YA0006JP」という構成。2023年5月に発売され、実売価格15~16万円ほどで購入可能なモデルでした。
現在は次の世代のモデルが販売中ですが、同じCPU/グラフィックスボードの構成は現在も販売されているのでスペックの参考にはなるではないかと思います。
※同モデルは現在は終売モデルとなっています。
モデル | Lenovo Legion Slim 5i Gen 8(82YA0006JP) |
---|---|
CPU | インテル® Core™ i5-13500H プロセッサー2.60GHz (ターボブースト時 4.70GHz) |
OS | Windows 11 Home 64bit |
ディスプレイ | 16″ WQXGA液晶 (2560 x 1600) IPS, 光沢なし, マルチタッチ非対応, 100%sRGB, 350 nit, 165Hz, ブルーライト軽減パネル |
メモリ | 16GB (8GBx2) DDR5-5200 SDRAM SODIMM |
ストレージ | 512GB (PCIe NVMe/M.2) |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce® RTX™ 4050 Laptop GPU 6GB GDDR6 |
最大消費電力 | 170W |
内蔵カメラ | あり (前面:FHD 1080p カメラ、プライバシーシャッター(電子式)) |
指紋センサー | なし |
キーボード | 84 キー(Fn キー+Windows キーを含む)、JIS 配列、ホワイトバックライト・キー ボード、マルチタッチパッド、パワーボタン、テンキー |
ワイヤレス | Wi-Fi 6対応 (IEEE802.11ax/ac/a/b/g/n準拠) |
サイズ(W×D×H) | 約 359.7×260.3×19.9~21.9mm |
本体質量 | 約 2.4kg |
MicroSoft Office | なし |
発表日 | 2023年5月16日 |
主なスペックは上記の通り。CPUは第13世代インテル Core i5 13500H、GPUはNVIDIA GeForce RTX 4050、16型のIPS液晶はWQXGA(2560X1600)/リフレッシュレート165Hz/sRGB 100%対応という構成です。
インテルCPU搭載では最もお求めやすい価格帯の商品だと思うよ
LegionとLOQの違い
レノボのゲーミングPCには今回ご紹介しているLegionシリーズのほかに、「LOQ」というモデルも存在します。
LegionはレノボゲーミングPCのメインブランド、エントリーからハイエンドまで、幅広いラインアップを誇ります。
LOQは初めてゲーミングPCを手に入れる方に向けたエントリーブランド。コスパに優れた製品ラインアップになっています。
今回レビューする「Core i5+RTX4050」という構成はLegionにもLOQにもありますが、ディスプレイ解像度やインターフェースなど細かな点で「お金が掛かっている」のがLegionシリーズの特徴です。
コスパ重視ならLOQというチョイスもありですよ
Legion 5i の現行機種は?
今回レビューするLegion Slim 5i Gen 8というモデルはすでに終売となってしまっています。同様の仕様では下記の現行機種が販売中です。
- 以下の価格は記事執筆時のものです。最新価格はWebにてご確認ください。
WEB直販価格:¥164,890(税込)
Legion 5i Gen 9(83DG004VJP)
- 製品番号: 83DG004VJP
- インテル® Core™ i5-13450HX プロセッサー
- Windows11Home64bit
- NVIDIA® GeForce RTX™ 4050 Laptop GPU 6GB GDDR6
- 16 GB DDR5-4800MHz (SODIMM)
- 512 GB SSD M.2 2280 PCIe-NVMe Gen4 TLC
- 16″ WQXGA液晶 (2560 x 1600) IPS, 光沢なし, 100%sRGB, 350 nit, 165Hz
WEB直販価格:¥139,920(税込)
Lenovo LOQ 15IRX9(83DV00KLJP)
- 製品番号: 83DV00KLJP
- インテル® Core™ i7-13650HX プロセッサー
- Windows 11 Home 64bit
- NVIDIA® GeForce RTX™ 4050 Laptop GPU 6GB GDDR6
- 16 GB DDR5-4800MHz (SODIMM)
- 512 GB SSD M.2 2242 PCIe-NVMe Gen4 TLC
- 15.6″ FHD液晶 (1920 x 1080) IPS, 光沢なし,100%sRGB, 300 nit, 144Hz
WEB直販価格:¥154,990(税込)
Lenovo LOQ 15IRX9(83DV00KMJP)
- 製品番号: 83DV00KMJP
- インテル® Core™ i7-13650HX プロセッサー
- Windows 11 Home 64bit
- NVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU 8GB GDDR6
- 16 GB DDR5-4800MHz (SODIMM)
- 512 GB SSD M.2 2242 PCIe-NVMe Gen4 TLC
- 15.6″ FHD液晶 (1920 x 1080) IPS, 光沢なし, 100%sRGB, 300 nit, 144Hz
Lenovo Legion ゲーミングノートの中古品は?
ゲーミングノートの中古品を見つけるのは非常に難しいのですが、ソフマップの中古通販サイト「リコレ」であれば、全国のソフマップ店舗の在庫をネットで購入可能です。
レノボのゲーミングノートPCであるLegionや、現在はLOQに名前が変わったIdeaPad Gamingの中古モデルが、新品よりも買いやすい価格で販売されています。
商品の在庫は常に流動しているので、最新情報は下記のリンク(リコレのショップ内で「レノボ ゲーミングノート」で検索しています)をご確認ください。
中古ゲーミングノートPCについては、下記の記事も参考にしてみてください。
Lenovo Legion Slim 5i Gen 8の実機レビュー
それではLenovo Legion Slim 5i Gen 8の実機を、まずは外観からチェックしていきます。
本体デザイン
ゲーミングノートらしいシャープな形状。「ストームグレー」と命名されたボディカラーは、ややブルーがかったグレーのメタリック塗装が施されています。
重量
Lenovo Legion Slim 5i Gen 8は、名前に「Slim」と入っていますが、取り立ててスリムでも軽量でもありません。
事実、この次の世代(Gen9)からはモデル名からSlimの文字は消えてしまいましたw
本体重量は実機計測で2,203g、ACアダプターは536gと、合わせて3kg近い重さになるので、正直持ち運ぶ気にはならないでしょう。
ディスプレイ
16インチのWQXGA (2560 x 1600) 解像度の液晶ディスプレイを採用。フルHD(1920 x 1080)の約2倍の情報量を表示できるので、作業効率が上がるでしょう。
液晶パネルもsRGB 100%対応の広色域IPS液晶を搭載しているので、画像編集や映像編集といったクリエイティブ用途でも使えます。
リフレッシュレートは165Hz。速い動きにも追従できる非常にコストのかかったディスプレイを採用しています。
ディスプレイは180°開くので、他の人との画面共有に便利です。
キーボード
キーボードにはテンキーを装備。テンキーはゲームをする上では不要ですが、普段使いをする上では便利です。
しかしテンキーがある分、キーボードとトラックパッドがやや本体左にオフセットされるため、使いづらさを感じる方もいるでしょう。
このあたりは好みの分かれるところかもしれません。
キーストロークは1.5mmとノートパソコンとしては深め、しっかりとした打鍵感を持っています。
キーボードの評価の高いThinkPadシリーズを持つレノボらしい味付けのキーボードタッチは心地いいです。
テンキーが装備されているため、Enterキー周辺のいくつかのキーがコンパクトさ優先で統合されています(写真赤枠内参照)。「¥」キーやEnterキーまわりなど、少し操作感に違和感を感じるかもしれません。
キーボードバックライトはホワイト。ゲーミングノートらしいカラーのド派手なイルミネーションは装備されていません。
インターフェース
本体左側面にはUSB Type-Cが2つ(うちひとつは、Powerdelivery 対応)とイヤホンジャック、右側面には4-in-1 メディアカードリーダー(SD、SDHC、SDXC、MMC)が装備されています。あとは背面中央に集中して装備されています。
背面ポートによって本体を壁面に近づけて置けないことがデメリットとして感じるかもしれませんが、ポートの左右には大きな排熱口が装備されています。効率的に排熱を行うためのスペースを確保する意味でも、配線類をごちゃごちゃ見せないという意味でも、背面にポートをまとめたのはカシコイ設計と言えます。
左側面: USB Type-Cが2つ(うちひとつは、Powerdelivery 対応)、マイク/イヤホンジャック
右側面:4-in-1 メディアカードリーダー(SD、SDHC、SDXC、MMC)、プライバシーシャッター(電子式)
背面:左からUSB3.2 Gen2(Powered USB)、USB3.2 Gen2、イーサネット・コネクター(RJ-45)、HDMI、電源コネクター
エアフロー(排熱設計)
背面ポートのところでも少し触れましたが、Legionシリーズのエアフロー(排熱設計)はよく考えられています。
発熱量の大きいGPUを積極的に冷やすために、本体の下から吸気して側面後方、および背面左右の排気口から排熱。
少し手前にセットされたディスプレイが「壁」となり、プレイヤー側に熱が伝わらないように設計されています。
本体下に吸気口があるから、毛足の長いマットとか下に敷いちゃだめだよ
実際2時間ほど使用しても、ディスプレイの裏側の空間はそこそこ温かい空気で満たされているものの、手前側は特に暑さを感じることはありませんでした。
特に左手側「WASDキー」周辺には熱が伝わらないような設計上の配慮も感じられました。
このあたりの緻密な設計はさすが大手メーカーといったところです。
サーマル・モード
Legion シリーズには「Lenovo Vantage」という管理ツールがインストールされています。
その中の「サーマル・モード」の設定で、パフォーマンスと電力消費をコントロールできます。
通常はバランスモードが設定されていますが、効率重視の「パフォーマンス・モード」と省電力性重視の「静音モード」をマニュアル操作で切り替えることができます。
切り替えはLenovo Vantage画面上だけでなく「Fn + Q」のキー操作でも可能。モードを切り替えると電源ボタンの色が変わります。
カスタマイズ性
ノートPCなので購入後のカスタマイズはあまりできませんが、購入時に仕様をカスタマイズして注文可能です。
CPU/GPU/メモリ/ストレージなどのアップグレードに加え、LegionではOSをWindows 11 Proに変更することも可能です(カスタマイズできる項目はモデルにより異なります)。
Windows 11 Proにすることのメリットとして大きいのが「リモートデスクトップ」機能が使えること。
外出先のPCからLegionにログインして操作ができるので、Legionに保存してあるデータにアクセスしたり、モバイルノートPC上でLegionを動かすことも可能。
通信環境に依存はしますが、外出先での重たい作業やプレゼンテーションなどに便利に使えます。
Legion Slim 5i Gen 8(82YA0006JP)の性能は?
これから、Legion Slim 5i Gen 8(82YA0006JP)の性能面について検証します。
今回レビューするLegion Slim 5i Gen 8は、第13世代インテル Core i5 13500HにNVIDIA GeForce RTX 4050という構成。現在販売されているゲーミングノートの中ではコスパ重視のパーツを使っています。
そこで、海外サイトのベンチマークデータを参照して、現在・過去に販売されているパーツと性能比較してみます。
CPU比較(PassMark)
CPUベンチマークとして有名な“PassMark”の数値で、最近のインテル製高性能版ノート用CPUの性能を比較します。
スコアの高い順に並べたところ、第13世代のi5は第12世代のi7以上の性能を出していることがわかります。
インテルCPUは14世代以降、ゲーミング用の高性能版(14XXX)のほかに省電力性に優れたCore Ultraシリーズをラインアップしてきました。
今後は「Core Ultra 7」「Core Ultra 5」といった型番もチェックしてみてください。
GPU比較(PassMark)
GPUのベンチマークも同じく“PassMark”のスコアを参照しました。
同世代の最安GPUなので、同世代間の性能比較では最も低い通知となとなりますが、ひとつ前の世代RTX30番台と比較すると、2クラス上のRTX 3070 Laptopに迫る性能を発揮しているのがわかります。
RTX3070搭載モデルだと当時は20~25万円ほどの価格でしたから、この性能が15万円前後で買えるのは驚きです。
Legion Slim 5i Gen 8(82YA0006JP)のベンチマーク結果は?
せっかく実機をお借りしたので、いくつかのベンチマークテストをかけてみました。
Cinebench R23
Cinebenchは、独MAXSON社が無償配布しているベンチマークソフトです。3DCG描写を含む複雑な演算をCPUのみで行うテストで、CPUの性能のみを測れるベンチマークとして広く利用されています。
最新バージョンは2024ですが、今回は実績の多いR23バージョンを使用しました。
最近のマルチコアCPU(ひとつのCPUに複数のコアを持ち複雑な演算を同時に行える)のシングルコアとマルチコアのテスト結果、そしてその差が何倍になるかを示すMP Ratio(MPレシオ)が計測できます。
下記のサイトでは主要CPUのCinebench R23スコアが公開されています。
Cinebench R23 実測値
- CPU(MultiCore):11666pts
- CPU(SingleCore):1648pts
- MPRatio:7,06x
実機計測した結果、公開スコアよりも低い数値となってしまいました。
参考のために公開スコアのスクショを下記に貼っておきます。
3D Mark
「3DMark」はハイエンドPCからタブレットPCまで利用できる定番3Dベンチマークソフトです。DirectX 12を利用したベンチマーク「Steel Nomad」「Time Spy」や、DirectX 10/11レベルのベンチマーク「Fire Strike 」「Night Raid」をテストできます。
今回は、最新のベンチマークである「Steel Nomad」をテストしました。4K解像度のCGを使った激重ベンチマークなので、はたしてちゃんと動くのかという部分でも興味があります。
また、Legion に実装されている「サーマル・モード」にて、「パフォーマンス・モード」と「バランス・モード」でどのくらいの差が出るのかも検証してみました。
Steel Nomad (バランスモード)
- バランス・モード:1641
Steel Nomad (パフォーマンスモード)
- パフォーマンス・モード:1850
さすがにデスクトップ用の4K解像度のCGデータを使ったベンチマークでは、その結果はかなり悲惨なものとなりました。「うごくかどうか」という興味本位でかけてみましたが、ベンチマークの意味はあまりなかったかもしれません。
しかし各結果的には一応テストは完走し、バランス・モード時よりもパフォーマンス・モードを選択した時の方がスコアが伸びるということは確認できました。
ゲームを快適に楽しむには、「サーマル・モード」は積極的に変えた方がいいでしょう。
FF XIV「黄金のレガシー」ベンチマーク
ゲームベンチマークとして有名なファイナルファンタジーXIVのベンチマークを試しました。
最新の「黄金のレガシー」ベンチマークをフルHD高品質モードでテストします。
FF XIV「黄金のレガシー」 実測値
- 高品質(FHD):11593(とても快適)
高品質(FHD) でも「とても快適」なスコアがでました。
FF14は「黄金のレガシー」で大幅なグラフィックアップデートが実施され、要求性能も上がっていますが、RTX4050であればフルHD画質で十分快適なプレイが可能です。
このように、各種ベンチマーク結果によると、Legion Slim 5i Gen 8(82YA0006JP)は現行ラインアップでは最安に近い構成ではありますが、グラフィック性能においては入門レベルとしては十分な性能を持っているといえます。
Legion Slim 5i Gen 8(82YA0006JP)はクリエイティブ用途で使える?
ゲーミングノートをゲーム目的以外、たとえば動画編集などのクリエイティブ用途に使いたいという方も多いでしょう。
例えば、プロの現場で使われている動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」の推奨動作環境は以下のようなものです。
- Adobe Premiere Pro 推奨システム要件
プロセッサー | Quick Sync 搭載の Intel® 第 11 世代以降の CPU または AMD Ryzen™ 3000 シリーズ/Threadripper 2000 シリーズ以降の CPU |
---|---|
OS | Windows 10(64 ビット)日本語版バージョン 22H2(以降)または Windows 11 |
メモリ | HD メディアの場合は 16 GB の RAM 4K 以上の場合は 32 GB 以上 |
ストレージ | アプリのインストールおよびキャッシュ用に内蔵高速 SSD メディア用に追加の高速ドライブ |
ディスプレイ | 1920 x 1080 以上 HDR ワークフロー用 DisplayHDR 1000 |
GPU | HD および一部の 4K メディアの場合は 4 GB の GPU メモリ 4K 以上の場合は 6 GB 以上 |
今回の構成でも上記の推奨要件は満たしていますが、実際にはもう少し上乗せしたいところです。
当サイト管理人は本業でデザイン業に従事しているので、社内に動画編集スタッフがいます。
そこで、実際にPremire Proを使っているプロの動画編集者に、どのくらいのスペックのPCが必要なのか聞いてみたところ、こんな回答を得ました。
- CPUはグラボのボトルネックにならないもの
- グラボはノート用でも十分だがVRAM 8GB以上推奨、RTX3070 Laptop/RTX4060 Laptop以上がベター
- メモリは16GB以上32GB推奨
- ストレージは本体1GB SSD/セカンドストレージとして2GB以上のHDD(外付けでOK)
- ディスプレイはノートならWQHD、デスクトップなら27インチ以上の4K推奨
sRGB 100%対応は必須、Adobe RGB/DCI-P3対応ならベスト
思ったよりも要求スペックが高かったため「YouTubeやSNS用にフルHDの動画が作れればいいんだけどこんなスペック必要?」と聞いたのですが、「今はスマホでも4K動画が普通に撮れるので、出力する結果がFHDでもその過程では4Kを扱う必要がある」とのこと。なるほど。
また、「動画編集はエンコード・デコードなどPCに負荷のかかる演算も多く、プレビュー確認しながら編集作業をするので、メモリも多いほうがいい」とも言います。
そうなると今回の構成、ディスプレイ性能は問題ないものの、中味(CPU/GPU/メモリ/ストレージ)のほうは今一つ足りていないことになります。
ただ、あくまでこれはゴリゴリのプロ編集者のレベルの話ですので、ご参考程度にしていただければと思います。
Legion Slim 5i Gen 8(82YA0006JP)は画像生成AIで使える?
今回のレビューでもうひとつ試してみたかったのが画像生成AIです。
当サイトではイメージ画像にAIイラストを使用していますが、現在は有料のWebサービスに課金して生成しています。
将来的にはStable Diffusionをローカル環境で生成できるスペックのPCが欲しいと思っているのですが、よく言われるのが「VRAM 12GB以上のGPUが必要」ということ。ゲーミングノートだとRTX4080以上が必要になり、かなりハードルが高いです。
そこで今回は、RTX4050搭載のこのPCにStabele Diffusionのローカル環境を構築し、実際にAI画像を生成して「何ができて何ができないのか」を検証します。
Stable Diffusion Web UI Forgeで検証
Stable Diffusionをローカル環境で動かすにはいくつかの方法がありますが、今回はメモリ消費の少ないStable Diffusion Web UI Forgeをインストールしました。
検証方法としては、この界隈では有名な「ちもろぐ」さんのブログにて公開されているプロンプトをお借りして、SD1.5とSDXLのふたつのモデルで10枚の画像を生成し、その時間を計測します。
SD1.5 神里綾華ベンチマーク(512×768)
原神の人気キャラクター「神里綾華」のプロンプトを使ったベンチマークです。スタンダードなSD1.5での生成は動作も軽く問題なく生成できました。
ただしText to Image(文字プロンプトのみ)だけでは特徴的な衣装の再現まではできなかったようで、ここはLoLA(追加学習モデル)を読み込むなどの工夫が必要そうです。
生成にかかった時間は42.8秒、1枚あたり4秒ほどで生成できるなら速いですね。VRAM消費量は72%とまだ少し余裕がある状態。LoLAを読み込んでも止まることはなさそうです。
ただ、今回は「ちもろぐ」さんのプロンプトがしっかりしていたので問題なかったのですが、SD1.5は手足の表現などの破綻が大きいのと生成できる画像サイズが小さいことが難点。
当サイトの画像も開設当初はSD1.5でしたが、最近はSDXLに移行しています。
SDXL トキ(ネイティブ高解像度イラスト)(1,024×1,024)
高解像度画像が一発で出せるSDXLについても「ちもろぐ」さんのプロンプトをお借りして生成します。こちらはブルアカのキャラクターですね。
SD1.5では難しいポーズも大きな破綻なく、しかもバリエーションの幅も広く生成できるので、ガチャもやりがいがあります。
生成時間は3分49秒。1枚あたり23秒とSD1.5よりもかなり時間がかかりますが、生成品質と画像の大きさを考えたら十分許容範囲内です。
ただしVRAM使用量は100%張りつき。生成中はずっとファンが全開でした。
SDXL ちゅーぱそ(ネイティブ高解像度)(1,024×1,536)
ついでに当サイトの看板娘「ちゅーぱそ」も生成してみました。
「ちもろぐ」さんのベンチマークプロンプトをそのままお借りしてキャラクター部分だけ書き換えたもの。画像サイズも縦長に拡大しています。いつもより少し大人っぽい感じになっている気もします。
あたしがいっぱいだ!
生成時間は4分31秒。1枚あたり39秒とこれも時間的には許容範囲内。ただしこちらもVRAM使用量は100%張りつきです。
結局画像生成AIでは使えるの?
検証した結果、Stable Diffusion Web UI Forgeをインストールしてのローカル環境でのAI画像生成は、VRAM 6GBのRTX4050でも可能でした。
ただ、それではこのモデルを画像生成目的で買うかというと「NO」という判断になります。その理由はふたつ。
- 生成自体はできるがVRAMにまったく余裕がない
- 生成中ファンが回りっぱなしでかなりうるさい
現時点での画像生成自体は可能ですが、Text to ImageだけでVRAM全開となると、LoLAの読み込み・学習や拡張機能の適用といったことは難しいでしょう。それではせっかくローカル環境にした意味がありません。
また、生成中ファンが回りっぱなしということは、時間のかかる追加学習を夜寝ている間に掛けるというようなこともできないですね。
特にファンの問題はゲーミングノート全般に言えるため、高スペックなゲーミングノートであってもあまり関係がないのかもしれません(今後機会があったら試してみたいですが) 。
Stable Diffusionをローカル環境で実行したいのであれば、デスクトップを選択したほうが何かと幸せになれそうです。
まとめ|Legion Slim 5i Gen 8(82YA0006JP)ってどうなの?
LenovoのゲーミングノートPC「Legion Slim 5i Gen(82YA0006JP)」を実機レビューしました。
- 第13世代Corei5にRTX4050搭載
- 16型IPS液晶ディスプレイは WQXGA液晶 (2560 x 1600)/sRGB 100%/リフレッシュモード165Hz
- ゲーム性能は優秀、フルHD画質でなら大抵のゲームは快適プレイ可能
- クリエイティブ用途としてはWQXGA解像度が魅力的、ただしスペックはもう1ランク上が欲しい
- 画像生成AIは生成自体は可能だがGPU性能にまったく余裕なし、生成中の音も気になる
レビューした印象としては「ちょっと中途半端」。
Core i5/RTX 4050という構成では、せっかくのWQXGA高解像度のディスプレイ性能を活かしきれません。
この構成であれば、フルHD解像度を選べる「LOQシリーズ」のほうがコスパもよくておすすめです。
クリエイティブ用途においても、このディスプレイ性能に見合った「Core i7/RTX4060以上」の構成をおすすめします。
この記事が、皆さんの中古パソコン選びの参考になれば幸いです。