2020年モデルのLenovoのゲーミングPCブランド「LEGION」の15.6型ゲーミングノート「Lenovo Legion 550pi」の過去実機レビューから、現在も現役機種として使えるのかどうかレポートします。
2022年にレノボ・ジャパンさんからサンプル機をお借りして実機検証した記事をもとに、現在販売中の後継機種とのスペック比較を行いました。
また、このモデルの中古価格を、販売中の後継機種の新品価格と比較。今買うなら新品がいいのか中古品がいいのかも検証します。
- 安くて性能のいいゲーミングノートを探している
- 同じ価格帯なら新品と中古どちらがいいのか知りたい
- ちょっと古めのゲーミングノートって大丈夫なの?
こんな方はぜひお読みくださいね
Lenovo Legion 550piについて
レノボさんからお借りしたLegion 550Piは、モデル番号「82AW003CJP」という構成。WEB限定モデルで、2022年6月時点で、実売価格15万円ほどで購入可能なモデルでした。
発売は2020年5月で、レビュー時点ですでに2年落ちの製品でしたが、発売当初は27万円した構成ですので、実に45%OFFという大変お買い得なモデルでした。
※同モデルは現在は終売モデルとなっています。
モデル | Lenovo Legion 550Pi(82AW003CJP) |
---|---|
CPU | インテル® Core™ i7-10750H (2.60 GHz up to 5.00 GHz) |
OS | Windows 10 Home 64bit |
ディスプレイ | 15.6″ FHD IPS 光沢なし LEDバックライト 1920×1080 144Hz |
メモリ | 16 GB DDR4 2933MHz (2 x 8 GB SODIMM) |
ストレージ | 1 TB SSD, M.2 PCIe-NVMe |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce® RTX™ 2060 6GB GDDR6 |
最大消費電力 | 230W |
内蔵カメラ | なし |
指紋センサー | なし |
キーボード | ホワイトバックライト付キーボード 日本語 |
ワイヤレス | Wi-Fi 6対応 (IEEE802.11ax/ac/a/b/g/n準拠) |
サイズ(W×D×H) | 約 363.1×259.6×23.6mm |
本体質量 | 約 2.3kg |
MicroSoft Office | なし |
発表日 | 2020年5月27日 |
主なスペックは上記の通り。CPUは第10世代インテル Core i7 10750H、GPUはNVIDIA GeForce RTX 2060、15.6型のIPS液晶はリフレッシュレート144Hzという構成です。
i7+RTXで高リフレッシュレートモニタもついて、なかなかいい構成だったね
Legion 550i/550Piの違い
今回ご紹介しているLegion 550Piには、姉妹モデルとしてLegion 550iというモデルも存在します。
Legion 550PiがWEB直販モデル、Legion 550iが量販店モデルという位置づけで、カバー部分のロゴマークの違いなど、いくつか外観上の違いはありますが、製品仕様上大きな違いはありません。
中古品を探す際には、550iと550Piの両方を検索することをお勧めします。
Core i7モデルとCore i5モデル
Legion 550i/550Pi にはさまざまな製品仕様がありましたが、大きく分けてCore i7搭載モデルとCore i5搭載モデルのふたつがありました。
- パフォーマンスモデル:Core i7 10750H + GeForce RTX 2060
- エントリーモデル:Core i5 10550H + GeForce GTX 1650
CPUの違いだけでなく、搭載されるグラフィックスにも差がありますので、中古品を探す場合は価格のみならず仕様も必ず確認しましょう。
Legion 550i/550Piの後継機種は?
レノボのゲーミングノートはLegion以外にも「ideaPad Gaming」「LOQ」といったシリーズがあり、さまざまなモデルがラインアップされています。
- 以下の価格は記事執筆時のものです。最新価格はWebにてご確認ください。
WEB直販価格:¥159,830(税込)
Legion 570i
- 製品番号: 82RB00HVJP
- インテル® Core™ i7-12700H プロセッサー
- Windows 11 Home 64bit
- NVIDIA® GeForce RTX™ 3060 Laptop GPU 6GB GDDR6
- 16 GB DDR5-4800MHz (SODIMM) – (2 x 8 GB)
- 1 TB SSD, M.2 PCIe-NVMe
- 15.6″ WQHD液晶 (2560 x 1440) IPS/165Hz
WEB直販価格:¥119,790(税込)
IdeaPad Gaming 370i
- 製品番号: 82SA00HFJP
- インテル® Core™ i5-12450H プロセッサー
- Windows 11 Home 64bit
- NVIDIA® GeForce RTX™ 3060 Laptop GPU 6GB GDDR6
- 16 GB DDR4-3200MHz (SODIMM) – (2 x 8 GB)
- 512 GB SSD, M.2 PCIe-NVMe
- 16″ WUXGA液晶 (1920 x 1200) IPS/165Hz
WEB直販価格:¥124,850(税込)
Lenovo LOQ 16IRH8
- 製品番号: 82XW004XJP
- インテル® Core™ i5-13420H プロセッサー
- Windows 11 Home 64bit
- NVIDIA® GeForce® RTX™ 3050 Laptop GPU 6GB GDDR6
- 16 GB DDR5-5200MHz (SODIMM) – (2 x 8 GB)
- 512 GB SSD, M.2 PCIe-NVMe
- 16″ WUXGA液晶 (1920 x 1200) IPS/144Hz
Lenovo Legion 550i/550piの中古品は?
Legion 550i/550Piの中古品はあまり流通していないようですが、ソフマップの中古通販サイト「リコレ」でLegion 550i/550Piの在庫を見つけることができました。
しかも商品ランクAの美品。
税込11万円以内というお買い得な価格設定も注目です。
商品の在庫は常に流動しているので、最新情報は下記のリンク(リコレのショップ内で「Legion」で検索しています)をご確認ください。
Legion 550i/550Pi以外の中古ゲーミングノートPCについては、下記のおすすめ中古パソコン専門店サイトで検索してみてください。
Lenovo Legion 550piの実機レビュー
それではLenovo Legion 550piの実機を、まずは外観からチェックしていきます。
本体デザイン
ゲーミングノートらしいシャープな形状。「アイアングレー」と命名されたボディカラーは、ややブルーがかったグレーのメタリック塗装が施されています。
カバー中央とディスプレイのヒンジ部分には「LEGION」のブランドマーク。カバー部のマークは電源に連動して光るしくみです。
ディスプレイ
15,6インチのFHD(1,920×1,080px)、IPSディスプレイを採用しているので横から見ても暗くなりにくいきれいな映りです。
リフレッシュレートは144Hz。速い動きにも追従する一方、過度に高すぎないバランスの良さを感じます。価格を考えるとお得感の高いディスプレイと言えます。
ディスプレイは180°開くので、他の人との画面共有に便利です。
キーボード
キーボードにはテンキーを装備。テンキーはゲームをする上では不要といえますが、このクラスのノートPCを購入される方は普段使いのメイン機として考えている場合も多いので、あったほうが便利かもしれませんね。
テンキー部分はキーピッチが狭くなっている設計で、その分使用頻度の高いメインキーのピッチを十分確保しています。テンキー装備の影響は少ないと考えていいでしょう。
ただ、Enterキー周辺のいくつかのキーもコンパクトさ優先で統合されています(写真赤枠内参照)。「¥」キーが特に小さいので気にされる方もいらっしゃるかもしれませんが、レビュー時には操作面での影響は感じませんでした。
キーボードバックライトはホワイト。ゲーミングノートらしいカラーのド派手なイルミネーションは装備されていません。
マルチメディア
Legion 550piにはWebカメラが装備されていません。ZoomやTeamsなどのビデオ通話ソフトを使う場合は、別途Webカメラの準備が必要です。
カメラないからテレワークには不向きかも
マイクとスピーカーは装備されています。特にスピーカーはHARMAN社監修。動画や音楽再生でもクリアな音質で楽しめます。
ただしゲーム中はファンが回り続けるため、できればヘッドホンの利用をおすすめします。
インターフェース
左右にUSB3.0(左側のみPowered USB対応)ポートがひとつずつ。あとは背面中央に集中して装備されています。
背面ポートによって本体を壁面に近づけて置けないことがデメリットとして感じるかもしれませんが、ポートの左右には大きな排熱口が装備されています。効率的に排熱を行うためのスペースを確保する意味でも、配線類をごちゃごちゃ見せないという意味でも、背面にポートをまとめたのはカシコイ設計と言えます。
左側面: USB3.0 (Powered USB対応)、マイク/ヘッドホンジャック
右側面:USB3.0
背面:左から有線LAN(RJ-45)、USB-C、USB3.0×2、HDMI、電源ソケット、セキュリティロック
エアフロー(排熱設計)
背面ポートのところでも少し触れましたが、Legion 550piのエアフロー(排熱設計)はよく考えられています。
発熱量の大きいGPUを積極的に冷やすために、本体の下から吸気して側面後方、および背面左右の排気口から排熱。
少し手前にセットされたディスプレイが「壁」となり、プレイヤー側に熱が伝わらないように設計されています。
本体下に吸気口があるから、毛足の長いマットとか下に敷いちゃだめだよ
実際2時間ほど使用しても、ディスプレイの裏側の空間はそこそこ温かい空気で満たされているものの、手前側は特に暑さを感じることはありませんでした。
特に左手側「WASDキー」周辺には熱が伝わらないような設計上の配慮も感じられました。
このあたりの緻密な設計はさすが大手メーカーといったところです。
サーマル・モード
Legion 550piには「Lenovo Vantage」という管理ツールがインストールされています。
その中の「サーマル・モード」の設定で、パフォーマンスと電力消費をコントロールできます。
通常はバランスモードが設定されていますが、効率重視の「パフォーマンス・モード」と省電力性重視の「静音モード」をマニュアル操作で切り替えることができます。
切り替えはLenovo Vantage画面上だけでなく「Fn + Q」のキー操作でも可能。モードを切り替えると電源ボタンの色が変わります。
2世代前のCPU/GPUは使える?
これから、Lenovo Legion 550piの性能面について検証します。
今回レビューするLegion 550piは、第10世代インテル Core i7 10750HにNVIDIA GeForce RTX 2060という構成。現在販売されているゲーミングノートの中では比較的古い世代のパーツを使っています。
そこで、海外サイトのベンチマークデータを参照して、現在販売されているパーツと性能比較してみます。
CPU比較(PassMark)
CPUベンチマークとして有名な“PassMark”の数値を比較します。スコアの高い順に並べたところ、第10世代のi7はかなり下の方に位置してしまいました。
特にインテルCore iシリーズは世代ごとの性能アップが著しく、最新のi5は前世代のi7より高いスコアを出してるのがわかります。
GPU比較(3D Mark TimeSpy)
GPUのベンチマークは“3D Mark Time Spy”のスコアを参照しました。負荷の高いテストなので性能差が数値に大きく影響します。
ここでは世代の新しさよりもモデルごとの性能差が大きいことが分かります。RTX3050よりも2060の方が遥かにスコアがいいですね。
「CPU<GPU」で選ぶのが正解
CPUもGPUも、新しくて性能が良いものの方がいいのは当たり前ですが、購入するにあたっては予算というものがあります。限られた予算の中で最良の選択をするには、どこに予算をかけるべきかを考える必要があります。
ゲーミングノートの場合、CPUに比べGPUの負荷が圧倒的に高いことから、CPUよりもGPUに比重を置いた予算配分が良いとされています。
たとえ最新のCPUで高速演算ができても、それを映像として出力できなければ意味がありませんからね。
予算が限られる場合、CPUの計算能力には多少目をつぶってでも、GPUの描画能力を重視するのが正解。
そういった点で考えると、今回レビューしているLegion 550piの「第10世代i7+RTX2060」という構成は、なかなかバランスの良い「いい線いっている」構成と言って良いかと思います。
Lenovo Legion 550piの実機ベンチマーク検証
構成としてのバランスは良さそうですが、実際にはどうでしょうか?
せっかく実機をお借りしたので、いくつかのベンチマークテストをかけてみました。
Cinebench R23
Cinebenchは、独MAXSON社が無償配布しているベンチマークソフトです。3DCG描写を含む複雑な演算をCPUのみで行うテストで、CPUの性能のみを測れるベンチマークとして広く利用されています。
R23はその最新バージョン、最近のマルチコアCPU(ひとつのCPUに複数のコアを持ち複雑な演算を同時に行える)のシングルコアとマルチコアのテスト結果、そしてその差が何倍になるかを示すMP Ratio(MPレシオ)が計測できます。
下記のサイトでは主要CPUのCinebench R23スコアが公開されています。
Cinebench R23 実測値
- CPU(Multi Core) :7121pts
- CPU(Single Core) :1162pts
- MP Ratio 6.13 x
実機計測した結果、公開スコアとほぼ近い数値が出ました。MP Ratioも6コアで6倍強と、PCのCPUとしてはかなり優秀です。
3D Mark
「3DMark」はハイエンドPCからタブレットPCまで利用できる定番3Dベンチマークソフトです。DirectX 12を利用したベンチマーク「Time Spy」や、DirectX 10/11レベルのベンチマーク「Fire Strike 」「Night Raid」をテストできます。
Legion 550piに実装されている「サーマル・モード」にて、「パフォーマンス・モード」と「バランス・モード」でどのくらいの差が出るのかも検証してみました。
TimeSpy 実測値
- パフォーマンス・モード:6562
- バランス・モード:6105
Fire Strike 実測値
- パフォーマンス・モード:15223
- バランス・モード:14403
Night Raid 実測値
- パフォーマンス・モード:41645
- バランス・モード:37633
各テストとも、バランス・モード時よりもパフォーマンス・モードを選択した時の方がスコアが伸びました。
ゲームを快適に楽しむには、「サーマル・モード」は積極的に変えた方がいいでしょう。
PSO2 ニュージェネシス
セガの人気ゲーム「ファンタシースターオンライン2(PSO2)New Genesis」のベンチマークをテストしてみました。
PSO2 ニュージネシスは、2021年に大型アップデートでグラフィックエンジンが新しくなり、全く新しいゲームとして生まれ変わりました。それに伴い、キャラクタークリエイト機能も楽しめるベンチマークテストが無料公開されています。
PSO2 Nwe Genesis 実測値
- フルHD(6 ウルトラ):15554
- フルHD(5 スーパー):16278
かなり負荷のかかるベンチテストですが、解像度をフルHDに設定したところ、かなり快適に動きました。
スコア10000点以上で「快適」と言われているので、かなり優秀な数字です。
FF XIV
スクエアエニックスの超人気ゲーム「ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ」のベンチマークを試しました。
FF XIV 実測値
- 最高画質:14676(とても快適)
- 高品質(Desktop):15676(非常に快適)
FFXIVのベンチマークは比較的軽いので、まったく動作に問題はありませんでした。最高画質でも快適にプレイ可能です。
FF XV
ファイナルファンタジーXVのベンチマークはXIVに比べてかなり重いため、要求スペックが高くなっています。
FF XV 実測値
- 高品質(FHD) :6790(快適)
- 標準品質(FHD) :8721(快適)
- 軽量品質(FHD) :11335(とても快適)
高品質(FHD) でも「快適」なスコアがでました。動作がカクつくようなら画質を落とすことでより快適にプレイできます。
このように、各種ベンチマーク結果によると、Legion 550piは2年前のスペックではありますが、当時30万円近くした機種ということもあり、良好な結果が出ていました。
まとめ|Lenovo Legion 550piは今でも使えるの?
LenovoのゲーミングノートPC「Legion 550pi」を実機レビューしました。
- 第10世代Core i7にRTX2060搭載
- 15.6型IPS液晶ディスプレイはリフレッシュモード144Hz
- Wi-Fi6対応
- 各種ベンチマーク結果は15万円クラスとして今でも優秀
- Webカメラは非搭載
レビューした印象としてはかなり好感触なPC。
新品のエントリーレベルのゲーミングノートを凌駕する性能を持っているので、2023年現在でも現役で通用するスペックと言っていいでしょう。
ただし中古品の流通はあまりないため、運良く見つけた場合は早めの決断がおすすめです。
また、ゲーミングノートは年々スペックアップしています。
新品のハイコスパモデルも同時に検討するといいでしょう。
この記事が、皆さんの中古パソコン選びの参考になれば幸いです。